【書評】機械脳の時代――データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?
みなさまこんにちは。
生物学×化学×ITで勉強中のメーカー研究員toryzaeです。
最近は人工知能、機械学習関連の読み物を多く読んでいます。
しばらくは関連する書籍の書評が多くなると思いますが、ご容赦くださいませ。
さて、本日の読書記録はこちら。
機械脳の時代
データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?
加藤 エルテス 聡志 (著)
確か会社の推薦図書だったような気がしたのですが…
何で紹介されたのかは正直忘れてしまいました。笑
ただ、内容はとても良く、
☑ データサイエンスをビジネスでどう活かすか
☑ うまく活かすためにはどうすれば良いか
などの情報が体系立てて整理されており、
技術者のみならず、マネージャー層など、幅広い読者層をターゲットとしています。
と記載がある通り、ビジネス寄りの人、データサイエンス寄りの人、エンジニア寄りの人、
全ての方に、データサイエンスを仕事でどう活用したら良いのかが分かりやすく記載されています。
細かい内容はネタバレになってしまうので、非常に簡単にまとめてみます。
☑ ABCDEフレームワークを用いて、プロジェクトに活用する。
☑ 徹底的に言語化を行い、メンバー間での意思疎通を確実に行う。
筆者はコミュニケーション不足(相互理解不足)によるプロジェクト失敗が多いと述べており、
フレームワークの活用と徹底した言語化により、コミュニケーションの充実が期待されます。
自分が働いている会社でもDXの推進が言われていますが、
実際には何をしたら良いのか分かっていない人が非常に多く(自分含め)、
この本に書いてある内容は非常に参考になると感じました。
読んでいて一番気をつけないといけないと感じたことがデータの取り扱い方についてです。
最大の落とし穴は、今あるデータから何ができるかを発想することです。
これ、実験科学をやっている研究開発者が陥りやすい発想です。
というのも、私たち実験科学屋さんは、仮説を立てて実験を行い、
取得したデータから何が言えるか、を考えるのが仕事です。
そのため、必然的に実験データがたくさん集まってくるのですが、
せっかく沢山データを集めたのだから、何か他の事にも活用したいよね、という発想になるのも自然かなと思います。
データ → 何が出来るか
の順番でプロジェクトを進めることは、思わぬ発見があることもありますが、
多くの場合、無駄に終わってしまうようです。
どちらかというと、データサイエンスを活用する場合
何をしたいか → そのためにどういうデータを集めると良いか
の順で考えたほうが効率的であり、プロジェクトの成功確率も上がるようです。
せっかくデータが沢山あるのだから、何かに活用したい!
という欲望を抑えて、目的を意識したデータ取りを行えるよう精進したいものです。